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憂鬱系青羊な RM307 の月一エッセイブログ Since 2011

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春過ぎて嗅ぐ冬の印象

この話を読んだ時は何故か動揺してしまった。
お題の「0℃」の通り、いつもとは違う温度だったからというのが一つ。
まぁ、あとは書かないけど・・・。
また、謎が多くてコメント欄も盛り上がっていたという事もあり、
いつも以上に色々な事を考えた。
魔痕社ラジオを聴いたのも刺激となった。
(su@u先生とはいつかじっくり話をしてみたいと思う)
考えはまとまりそうに無いけど、
あとで読み返すと面白そうなのでここに書き残しておこう。
感想や考察というより、ただのメモだけど。


憎んでいた相手は存在しないのでは?

冒頭に「今朝も僕は君を憎む」とあったし、
誰かに対する呪いの言葉とも取れる文章も残されていた。
最期も「まるで嫌がらせのような死に方」だし。
その所為か、姉もヒキタサユリも
ミノルが誰かを憎んでいた事を前提に話していたようだけど・・・。
これって勘違いじゃないのかな。意図的に示された勘違い?
二人ともミノルの近い所に居たけれど、彼のココロはわからなかった。
弟が何故自殺したかわからない姉と家族、
ミノルの隠れた行動を知らなかったヒキタサユリ
(もしかすると読者と大きな違いは無いのかもしれないな・・・。
作者の立場がミノル。立場ね)。そんな二人だから、
彼女たちの語る言葉をそのまま受け取る事ができない。
・・・と思ったんだけど、サユリがよくわからない存在だからなぁ・・・。
考えるのはちょっと後回し。

手記「誰も君の醜さを知らない。(中略)僕だけはそれを知っている」の部分、
『きっと手に入らない夏』と『小説になりきれない短いもの』を思い出す。
それを言い出すと長くなりすぎるから省略するけど。
ここからは憎悪を感じない。むしろあるのは好きって気持ちだよね。
この部分があったので、「憎んでいると言われているのは
好きな相手の事では無いか?」と思った。
そしてその直後の姉が「そう確かに」と続けている。
ここで、単に憎んでいるだけの相手は存在しないという事がわかる。
・・・と、自信満々に書いて間違えていたら恥ずかしいな。
でもこの姉のモノローグはわざとらしすぎるよね。
「私は勘違いしています」と言っているようなモノだ。
ミノルくんにも嫌いな人ぐらい居たとは思うけれど、
それをこのノートに書くかな・・・?
サユリの事は書かれているようだけど。
「途上国支援の広告に〜」の部分。
でも今考えるとこれ、手記に書かれていた事なのか・・・?
カギカッコはあるけれど、姉の思考でも良いような気がしてきた。

好きな相手は?

ミノルが好きだったのは姉じゃないかな、やっぱり。
でないとこの姉である必要性が無くなる。
「誰も君の醜さを知らない。〜」の部分を読むと
どうしてもそう思ってしまうのだ。
姉も「犬に食われるべきだったのは私の方」だと言っているし・・・。
コメントには父親という意見もあった。
いつものつばき作品ならそれも有りかな、とも思うけど・・・。
もしもこのコメントをした人が
ミノルが男性と性交渉をしていなくてもそう感じたのなら、
それはとても興味深い。そうでないなら父親では無い、はず。
姉「弟がゲイだって知ってたの?」に対してサユリがうなずいてるけど、
これって二つともミノルが同性愛者だと思っているって事だよね?
多分これも勘違いじゃないかな・・・。手記を読む限り、
同性愛者だとは思えない。大体そんな事はどこにも書いてない。
“汚れ”に含まれる意味の方向の数で変わるけれど。
“けがれ”や“穢れ”では無いからな・・・。
相手がたまたま男性だったというだけの事だと思う。
性別は重要では無いはず・・・と思ってしまうのは僕だからなのかな。


サユリについて

彼女は一体何なんだろう・・・? 「何者なのか」という事ではなく・・・。
単純に意味がわからない。考えるのを放置している。
ミステリアスな女性ではあるけれど、そういう事じゃなくて、
この小説のメインキャラクターであるはずなのに、
全く違う物語の登場人物にも思える。
駄目だ、言葉にできない。この違和感は何だろう・・・?
ズレた方向に深読みしてるのは僕だけなのかな・・・?


うーん、やっぱりまとまりそうにない。僕では駄目だな。


2012年3月3日 追記

みんな勘違いをしている? 各々の想いは交わらない、平行線だって事?
「そう確かに、〜」
「そうね、そうかもしれない。それはわかると思う。〜」
「知りませんでした。その事実を飲み込むまでに〜」
そしてサユリの断言。盲目的になっているとは考えにくいけど。
(彼女の存在がよくわかっていないから疑いの目で見てしまう)
サユリについて、つばき先生のブログで「彼女は何かを放棄して創作の、
幻想の世界の中に生きていくことを選んだから。」と書かれていた。
うーんうーん・・・。
姉の強さみたいなモノは何となくわかる。誰かの理想?
そういえば、姉は入り込もうとしていないのだな。

あともう一つ、ミノルの言う「触れないこと」と、
サユリの言う「触れられない」はちょっと違うみたい。
言葉の捉え方というか何というか、認識? 方向? 上手く言えない。
サユリは彼の事が好きだから、同じにはならない・・・と思うのだ。


最後の「もういいよ」の部分を読んでいるとひどく悲しくなった。
何度も読んだはずなのにな。何かが伝染してしまったのかもしれない。
ミノル君のようになれたら良いよな。最期も。


2012年4月7日 追記

「おはよう、今朝も僕は君を憎む。」の『君』について。
最初読んだ時は毎日必ずやってくる新しい朝に対してだと思った。
その後もう一度読んだ時は自分自身への言葉なのかな、と思った。
今はその両方かな・・・。特定の誰か(他人)では無いと思う。


2012年10月13日 追記

最初にサユリと対峙した時の姉の「どうやったらそんな風に何も疑わず〜」
から伝わるのは弟や彼女に対する引け目か。姉もそうなりたかったのかな。
やはり姉の主観で語られている部分はミスリードが多い気がするな。
真実に触れていると感じられるのは、終盤の
「そこにあるのは憎しみというよりも、それを超えた希求のように思えた」
という部分だけだ。
「ごく普通の〜どうしてこんなに難しいのだろう」とほとんど同じような事を
最近考えていた。
「触れないこと」。とても難しい事。でも、それを実行できているのに
性欲を理性で殺せなかったのはどうしてなのだろう。
多分「性欲」だけでは片づけられない衝動だったのだと思う。
それが何なのかはわからないけれど。
前回読んだ時は年上の男性に対する憧憬のようなモノを感じ取れた部分が
あったのだけれど、今日読んだ時は感じなかった。錯角だったのだろうか。
サユリ「今では、彼が誰に恋していたのかもわかっています。〜」
これについて考えた事あったっけ?見落としていた?
彼女はどこでそう判断したんだ?彼女の思う恋していた相手とは誰か?
「今が夏の盛りではなくて良かったと思った。〜」の件はやっぱり良いな。
この部分は結構印象に残っている。かなり好きな表現だ。
ミノル君の歌を聴いてみたかったな。表側をもっと知りたかった。
やっぱりこの作品は面白い。もしかしたら短編の中では一番好きかも。