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RM307のエッセイ的なブログ★3

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置いてきたモノは何だろう?

4、5年ぶりに町の図書館へ行った。
ノルウェイの森」を借りたかったのと、もう一度見ておきたかったから。
どれぐらい変わっただろうか、とドキドキしながら行ったけど、
本棚の位置も本の並びも置いてある本も(増えてはいたが)昔と同じだった。
僕はそれをちゃんと覚えていた。扉の開く音も匂いも覚えていた。
仲が良かった職員のおばさん(もうおばあさん?)は今も勤務されていて、
僕の事を覚えてくださっていた。嬉しかった。
以前より痩せていて声の張りも無くなっていたけど、お元気そうで良かった。

ライトノベルコーナーが新設されていたのと、インターネット予約が
できるようになっていた事以外は特に変化は無かった。
相変わらず本の種類は少なかった。田舎の図書館なのだ。
村上春樹でさえほとんど置いてなかったので(エッセイなんて皆無だった)
行く度にせっせと購入希望を出していたな。読みたい本はいくらでもあった。
そうやって少しずつ自分の為に本を増やしていったのだった。
どれぐらいあったか数えてみようと思ったけど、百を超えたあたりでやめた。
それらの一部は図書館へ行くといつも同じ顔をして本棚に並んでいたので、
「僕しか借りていなかったんじゃないか・・・?」と思う。
・・・種類が少なかった訳じゃないな。僕が手を出す本が限られていたんだ。
昔から狭く深くで。好きな作品を繰り返し読む事が多かった。
こういうのって読書好きとは言えないかな・・・とよく考えていたっけ。

漫画コーナーには「もやしもん」と「動物のお医者さん」が置いてあった。
どちらも以前から読んでみたいと思っていたけど、借りなかった。
手塚治虫の漫画も少し増えていた。よく読んでいたな。
ブラック・ジャック火の鳥、白いパイロット、キャプテンKen、
フィルムは生きている、勇者ダン、ジャングル大帝、ふしぎな少年など。
白いパイロットだけ読んだ。死んでいく少年たち。
絶クレをこういう風に図書館に置いておきたいな、と思った。

ノルウェイの森が借りられたのは残念だったけど、行って良かった。
本棚に体を預けて背表紙を眺める感覚は懐かしく、心地良かった。
昔は週に一回はこうしていたのに。もっと早く行っていれば。
アルバイトを始めて本を買う余裕ができた事もあったし、
引っ越したり、新都社を知ったり、本が読めなくなったりした事もあって、
(不死鳥先生ほど長くは無いけど、僕にも本が上手く読めない時期があった)
自分の中からその存在が忘れ去られてしまっていた。
安い感傷。もう行けない気がするから。
僕が絵を描いている間も、死にたいと泣いている間も、
図書館と本たちはずっとそこにあったのだ、と考えると不思議な気持ち。

中学生以降、僕は一人で本を読んでいる事が多かった。
でも独りの寂しさを埋める為に本を読んでいた訳じゃなかった。
小説や物語に希望を求めてすがっていた訳でも無かった。
それは純粋な喜びで、本当に楽しい時間だったんだ。
ダンス・ダンス・ダンスを読んで、その事を確認できて良かったと思う。
もうあの頃のような気持ちで本を読む事はできない。
好きな本を眺めて、眺める事しかできないと思って悲しかった。