2012-06-30 海辺のカフカ 作品感想・紹介 そう、君はひどく奇妙な場所に立たされている。君はすでに失われてしまったはずの少女の姿に恋をして、すでに死んでしまった少年に嫉妬しているわけだ。にもかかわらずその想いは、今まで君が現実に体験したどんな感情よりもはるかにリアルで、切ないものだ。そしてそこには出口がない。出口を見つけられる可能性すらない。君は時の迷宮の中に迷いこんでしまっている。なによりもいちばん大きな問題は、そこから出ていきたいという気持ちを君がまったく抱けないでいることだ。そうだね?