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憂鬱系青羊な RM307 の月一エッセイブログ Since 2011

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ねじまき鳥クロニクル

読もう読もうと思って後回しにしていたねじまき鳥クロニクルを再読した。
確かこれで三度目だけど、ストーリーはほとんど忘れてしまっていた。
ただ、加納クレタの過去や皮剥ぎの拷問やギター男の部分はよく覚えてた。
痛みの話は思い出すだけでぞわぞわする。辛かっただろうなぁ・・・。
皮剥ぎや虐殺の描写は本当に怖くて、早く終わって・・・と
ビクビクしながら急いで読み進めた。
ギター男に襲われた辺りはよくわからない。どういう意味があったのだろう。
アズ・ア・ドッグ」を思い出すけど、あれとはまた意味合いが違うしな。
先日読んだ村上さんのインタビュー集の中で、
「二部で終わるつもりだったけど、もう少し書きたくなったので三部を書いた。
二部までと三部はある意味別の作品」というような事を仰っていたけど、
改めて読み返すと確かにそんな感じだな、と思った。
三部があって良かったな。もし二部で終わっていたら、
僕はこの作品を好きにならなかったと思う。
僕には物語を読み解く力が無いので、ある程度謎が明らかになるか
解決しないと自分の中にきちんと収める事ができないのだ。
(まぁ違和感や謎を多く残したままの作品も嫌いじゃないけど。
わからない部分について色々考えるのはそれなりに楽しいし。)
三部では、暴力的なシーンや暗い描写が続く中で
笠原メイの手紙とラストのやり取りに救われた。
痣にキスするシーンも良いよね。アヒルのヒトたちの話も好きだ。
初めて読んだ時、笠原メイにはすごく惹かれたな・・・。
(一番好きな女性キャラはダンス・ダンス・ダンスのユキだけど。)
ポニテとショートパンツだったからという事もあったと思うけど
(この二つのアイテムは個人的に好きなのです)、
一番の理由は「かわいそうなねじまき鳥さん」
というセリフが好きだったから。何だか響きが良いのだ・・・。
井戸に閉じ込めた時、二部終盤の会話とかも好きだ。
淡々としているというか静かな感じ、というか・・・。
十五、六の少女なのに、何か少し高い視点から教え諭すみたいな・・・
上手く言えないけど、そんな不思議な部分があるよね。無いかな。
そんな様子とはだいぶ印象が変わるけど、手紙の文章も好き。
こういう手紙を書いてみたいし、もらってみたいなと思う。
大人になった彼女は、きっときらきら輝いているだろうな・・・
と何となく思った。三部終盤のこの部分がすごく印象的で。
「彼女は十七で、まだどんな風にでも変わることができるのだ」
冬の空の下でくっきりと透き通っていた彼女の目は、
きっととても素敵だった事だろう。

この作品は怖くて、でもぐいぐい読まされる力がある。
間宮中尉の話や手紙、動物園の獣医と兵隊の話は、
何と表現すれば良いかわからないけど魅力がある。
井戸の濃密な暗闇・・・。ああ駄目だ、わからないばかりだな。
以前ツイートした僕の好きな村上春樹の長編作品ベスト5には
入らないかもしれないかもしれないけど、やっぱり面白いし好きだな。

Twitterでつぶやいたが少し足りないな、と思って書き始めたけど、
そこまで書く事は無かったかな・・・。
次は世界の終り〜か1Q84を読みたいけれど、
今は本を読んでいる場合では無いかもしれない。
気持ちにも余裕が出てきたら読みたいと思う。
終わり。